突然ですが、昭和の名曲『木綿のハンカチーフ』(太田裕美さん唄)
を皆さんご存知でしょうか。
色々な方がカバーされていますが、
あの曲を聞くと切なくなり、涙が出てきます。
ひたすら、変わっていく主人公の男性からの贈り物よりも、
昔の素朴なあなたが好き、変わらないでと願うヒロインの女性。
そして最後に【最後の我儘】として涙を拭くハンカチーフを下さいと
おねだりをします。
ぐっときますね。
ひたすら、贈り物よりもそのままの貴方が一番欲しいと懇願する姿、
一途で健気な姿に心打たれました。
そしてどんなに素敵なダイヤモンドの指輪などもいらないと、
最後に自ら欲しがったものが木綿のハンカチーフ、、、、。
決して高級ではないけれど、
素朴で、でも涙を拭くには最適なねだりものだったのでしょう。
どれだけ悲しいかを表したのが木綿の・・・、
趣があるなあと、しみじみ浸っていました。
ところが、ところがですよ。
最近エレファントカシマシの宮本浩次さんが、
この曲をカバーされました。
全身から振り絞るような、訴えるような、でも優しい歌声。
思わず涙しましたが、
聞き終えた後に他の視聴者はどんなコメントをされているのかなと、
目を通したのです。
するとそこには衝撃的なコメントが。
❝これだけ彼女に全て『いいえ』と全否定されたら、男はたまったもんじゃない。❞
❝宮本さんが歌うと今まで女目線で聞いていた曲が、
男目線で不思議と理解できるようになった、、、❞
等のコメントが。
はっとしました。
今までは一途な彼女を置いて、都会かぶれて大事な気持ちを見失っていく男性に対して、
酷い男だな、、彼女が可哀相に、、、。
とずっと思っていました。
ところが、もう一度、よく耳を傾けて聴いてみると、、、、、。
あれ?なんだろうこの感じ、、、、、、。
宮本さんが唄っているからなのかもしれないけれど、
彼女に【都会に出て立派なスーツ姿の俺を見てほしい】
実は変わらず彼女の事を想っていて、だからこそ指輪を贈って喜ばせたかった。
でも彼女はいいえ、指輪よりも、、、、、。
と言って、彼氏は折角買って喜ばせたかったのに不完全燃焼、、、。
(↑ここは拒否や否定したのではなく、
ただ単に、
【物よりも私は貴方に逢えた方が嬉しいわ】と例えただけなような気がします。)
彼女は純粋に彼氏に変わらないで傍にいてほしかった。
彼氏は変わった自分を褒めて認めてほしかった。
彼女は彼氏の変化を認められなかった。
彼氏は失望しつつ、最後に【変わりゆく僕を許して】と懇願した。
変わってしまった事も、変わった自分を認めてもらえない事も理解していた。
認めていたからこそ、変わらない昔のままの彼女に違和感を抱き、
それでも悪いのは自分だから、傍にいてあげられない事を、
未来に向かって惜別する選択をした自分を、
最後だけ許して(認めて)ほしい。
そう願った。
こうして改めて両者の視点から考察すると、
あれ?どちらも悪くなかったんだという事に気が付きます。
ただ、お互いが相手に対して自分の価値観を認めてほしくて、
ほしいほしいの合戦だったのでは、、、という、
今まででは思いつきもしなかった視点に立つ事ができ、
宮本さん始め、コメントをされた方達に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
こんな新しい視点を与えてくださってありがとう。
もしこの二人のどちらかが、
例えば彼女だったら、素直に変わった彼氏に
『わぁ、そんなあなたも素敵ね。』
そう言っていたのなら、二人の関係は違ったものとなったのかもしれません。
逆にもし彼氏が、都会の暮らしに慣れつつも、
彼女の気持ちを察して、彼女の望むように傍に行ってあげていたら、、、。
あくまで一つのお話ではありますが、
唄でここまで深く考察が変わったのも初めての経験でした。
そして終盤、僕を許してと切なく唄う宮本さんを見ていたら、
なんだかこの主人公が可哀相にも思えてしまう位、
男性目線に立つ事ができました。
許して=認めてほしかった・・の嘆きにも聞こえてきたのです。
視点を変える・視点が変わる
そうすると、同じ物事なのに受け止め方が、視える世界がこんなにも違うのだと、
今回大きな衝撃を受けました。
そして結びついたのが、
ASDと非ASDの関係。
これもお互い価値観や見える世界が違っていて、尚且つお互いが相手に求めている事が違う。
ASDからしたら、この独特の拘りを解ってほしい。
非ASDからしたら、普通(こちら)の感覚を理解してほしい。
でも拘り≠普通ではないから、
お互い平行線。
どちらか又はお互いが歩み寄らない限りは。
勿論突然理解できる時がくるまでは、無理して納得しようとしても、
理解できないものは理解できなくて当然です。
ただ、今自分がこれ絶対おかしいでしょ、と思っている事も、
ひょっとしたらいつの日か突然、
(あれ?これはこれでまぁ、ありなんじゃないか?)
(むしろ今まで否定的に見ていたものの方がなんだか魅力的?)
なんて思う日が来るかもしれないという発見です。
そう考えると、ちょっと心に余裕というか、
視野を狭く持つと言う事は、もったいない事なんだなとも思いました。
高みの見物じゃないですけど、
高い所から『オッケー、オッケー、それもありなんじゃない?』
なーんて、思える程の器が欲しいなと思いました。
なんだ、人間って皆欲深い生き物なのね。
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