カサンドラ関連書籍 おすすめと感想⑦

カサンドラ

アスペルガーの男性が女性について知っておきたいこと

マクシーン・アストン 著

テーラー幸恵 訳

こちらの書物は洋書を訳したもので、

カウンセラーである著者が、

13年間に渡って実際にASD当事者やパートナーから寄せられた悩みや問題に答える本です。

さすが、長年多くのご夫婦の悩みを解消してきただけあり、

両者目線からの切り口がとにかく斬新でした。

※一部ネタバレを含みますので、これから読まれる方はご注意ください。

今までに過去6冊ものアスペルガー関連書籍の感想を書いてきましたが、

特に今回の作品は、大変内容の濃いものでした。

過去の作品においては、

大体がASDの(主に)男性はこんなところがあるので、こういう風に対処しましょう

的な感じが多い印象だったのですが。

こちらは、何か問題が起きた時の答えとして

【受け手によってはYESでもありNOでもある。】

と述べています。

ASDの男性はこれこれこういう意図があって、

論理的な事に必要性を感じて行動をしている。

片や女性側は情緒的な交流【心の糧】を求める為、

男性側が必要性を全く感じていない事を第一優先的とする。

どちらが悪いという話ではなくて、

考え方、頭の思考回路がそもそも違う。

ASDは極度の男性脳で、

定型型の、特に世話好きの女性は究極の女性脳

そっかぁ、真逆の両極にいる二人なんだなぁ、、、、、。

シーソーでいうなら、

2人とも端っこギリギリに腰かけていて、

ちょっとした事が命とり(アンバランスの元)になるから、

常に気が抜けない状態なんだなぁ、、、、、、、。

と思いました。

そして、

何より書き方が熱心だなと感じたのは、

一つのエピソードに対して、両者目線で解説がじっくりされていることです。

毎度こういった書籍を読むたびに、カサンドラの気持ちに関しては痛いほど共感できるのですが、

なにしろASDの言動の理由については漠然とした事しか書かれていないものが多く、

結局読んでいて思い出して不快な気持ちになったり、

モヤモヤして終わることがほとんどでした。

(器質的なものだとわかっても、どんな気持ちを抱えているかについてまでは理解できなかった。)

然し、この本は、

ASD男性の心理が細かく書かれている!

『まずはAS男性の心境から見ていきましょう。

、、、、、次に非AS女性の心境はこうです。

AS男性はこういった点に注意しましょう。

非AS女性からしたらこのように思うからです。

非AS女性もお願いしたからには、彼にとって理不尽な結果にならないよう、

自身もこういった努力は必要です。』

ぉお!凄い解りやすい!

さすがに全て納得、、じゃあしょうがないよねとはいきませんでしたが、

なる程、、!確かにそういう考え方の癖があって優先事項がそれならば、

そういった気持ちになるのも納得できるよ、、、、。

と、原因と結果論が見事に繋がっているので、読後のすっきり感がありました。

そして、

両極面の二人同志であるなら尚更、

今まで(ASDの方がおかしい!)と思っていた定型側も、

ASD側から見たら、(なんで理解してくれないんだろう?)

と理解されない苦しみや、解らない事自体に対する不安が強い事も理解できました。

一番の二人の溝の原因としては、

必要性を感じるものと重要性、優先順位が全く真逆なこと

なのかもしれません。

例えば、これから寒くなるのでこたつが欲しいという寒がりの女性。

片やなによりも暑いのが苦手でむしろこたつなんていらない、

クーラーがあればいいという暑がりの男性。

性質やそれに伴った欲しい物は真逆です。

相手の欲しがるものに価値を全く感じません。

そこで大切なのが、やはり両者両用の相手を思いやるという事なのでしょう。

きっと性質の違いが問題なのではありません。

大切なのは、違うからこそ想像力を働かせて、

相手を思いやる、気遣う言葉をかけあうこと。

これなんじゃないでしょうか。

だからASDは

自分にはこたつは必要ないから=いらない。

で終了。

定型側は、

(自分さえ我慢すれば、、、、。)

と思って、『じゃあこたつは諦めるから、クーラー買ったらいいじゃない。』

と言って譲る。

で、毎回毎回こんな感じで面倒くさくなって譲ってばかりいたら

いつか蓄積された不満が爆発して大惨事になる。

自分は暑がりでこたつの必要性は感じないけれど、

もし寒がりだったとしたら、欲しいと思うだろうしあれば嬉しいだろうなという発想。

それがあるかないか。

問題は暑がりか寒がりかでもないし、

どっちが悪いとかでなく、その先。

このカウンセラーの著者は、

両者にとって中立的な立場で物を言う姿勢に好感が持てます。

まずは定型女性側の深層心理を説明。

(読んでいて、あ、私も実はこんな風に感じていたのかも、、、

とハッとさせられる場面が何度もありました。)

ASD男性から見る、こういった女性の不満な態度はこんなからくりからきていますよと。

自分でも気づかなかった視点からズバッと答えてくれます。

そして、それじゃあASDの男性はその時その光景をどんな風に受け止めているのか?

頭の中ではどんな事を思っているのか?

↑ここです、ここ。これが重要です。

勿論あくまで、とある夫婦の一つの事例ではありますが、

きっとASD&定型のパートナーの関係性としては充分あてはまるケースだと感じ、

私には物凄く参考になりました。

有難かったのは、PMT(月経前症候群)【黄体期である月経の3日~10日位前に起こる

身体的・精神的症状を示す症候群】についての詳しい説明や、

産後の父親としての役割について、

何故それを知ることが必要なのかも含めて丁寧に解説をされているところです。

とても理論的に解説がされており、

これならASDの男性側も読んでいて頭にすんなり入ってくるのではないでしょうか。

(即行動に移せるかは別として。)

必要性を理解=実行する価値があると判断=理屈で納得

といった図式です。

後半は特に、

(ああ、この本結婚前に夫に読んで貰えば良かったなぁ、、。)

と思うような内容ばかりでした。

そもそもが活字が大の苦手な夫ですから、

まず本に興味を持ってもらうこと自体が大変そうですが、、、、、、(笑)

結婚して十数年。

最近やっと私の生理周期を覚えた夫です(笑)

何年一緒に生活してると思ってんのじゃぁ~!

ですが💧

(そして、やっと、やっとのこと月のこの時期は不調という事を覚えてもらえたのに、

そんな時に限って私の生理周期が乱れに乱れてしまうという、、、。)

実は私は毎月生理前から心身共に不調になりやすく。

異常な眠気と怠さ、イライラ・不安など、

不快症状に悩まされてきたのです。

病院も行きましたが、ホルモン値など異常なく。

毎月、早く終わらないかな~と憂鬱な一週間を過ごしてきました。

そして、いつもの如く体調が悪く横になっていると、

何故だか理解できない様子の夫。

内心、

(さすがにこれだけ一緒にいるんだから、生理で怠くて横になっている事位わかるだろう、、、、。)

そう思っても、平気でちょっかいを出そうとしてくる夫。

次第にそのしつこさにイライラして

『やめて!』

と言うと、

『なんで?どうして?』

『調子悪いから、、、、、。』

『なんで?』

『。。。。。。。。』

答えてやっと、初めて知ったようなびっくりしたような顔をされます、毎回(笑)

で、できないと解ると嘘みたいにサッと冷たく身を引く夫。

最初はあまりの豹変ぶりにショックで受け止められませんでしたが、

最近は慣れました(笑)

あ、またいつもの感じねって。

『ホント解りやすいよね~。露骨すぎだから!』

と言ってからかったりします。

話は戻り、今度は子供ができてからのお話。

AS男性から見ると、妻が何故家に一日いるのに家が散らかっているのか、

何故できないのか、自分は家族から除け者にされている、、、、

など切実な相談を持ち掛けます。

そこでカウンセラーである著者がズバッと軽快に答えます。

奥さんは今こういう状態です。

産後の精神状態やホルモンバランスの話、

夫は他人事ではないのですよ、

子供は二人の子なのですよ、、、、etc。

ここでも何故夫が育児に参加する必要があるのか、

実は夫が感じている疎外感というのは夫自ら距離を作っていたから、、、。

などなど、

へぇ~!ほぉ~!

あの時の夫はまさにこの状態だったのかも!

こんな考えから私も誤解して受け取ってしまっていた部分があったかも!

など目から鱗でした。

この本はきっと、ASであってもなくても、

男性でも女性でも、

結婚前でも熟年夫婦でも、

色々な立場の人にとって参考になるのではないでしょうか。

違った目線から物事を見ることができ、

心の幅が少しだけ(ほんの少し、、、)広くなったような気持ちです。

実践は難しいですが、

頭の片隅に入れたいと思います。

最初こそ横書きでびっしり文字が書かれていて読みにくいかも?

と思いましたが、慣れればすらすら読むことができました。

(基本活字で、ルールの提案ページのみ挿絵があります。)

ASと非ASの双方にとってのマニュアル的な一冊だと思います!

最後までお読み頂きありがとうございました!


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