カサンドラ妻の体験記ー心の傷からの回復ー
西城 サラヨ 著; 奇稿 田中 康雄
実生活において2児の母であり、カサンドラである西城 サラヨさん自ら執筆しています。
奇稿の田中 康雄先生はこころとそだちのクリニックむすびめ院長でもあり、
児童精神科医・臨床心理士。北海道大学名誉教授。発達障害に関する著書多数。
※一部ネタバレを含む内容もありますので、これから読まれる方はお気をつけください。
妻であるサラヨさんは(相性はニャンキー)夫であるヒデマロさんに、
自分の思いが伝わらない、会話がかみ合わない、察してもらえない、支え合えていない、、、と感じ、辛い毎日を過ごしていました。
妊娠中も、具合が悪くて洗濯物を干すよう頼むのですが、逐一支持をしなければならない状況にサラヨさんは涙します。
ただでさえ体調が悪いのに、横でゴロゴロ漫画を読みながら、
「お腹空いたね、ご飯まだ?」と聞く夫。
サラヨさんはますます具合が悪くなってしまいます。
(もう読んでいて本当に悲しく、、気の毒で仕方がなかったです。)
恐らく読んでいてヒデマロさんにイライラ・ムカムカしてしまうのではないでしょうか。
私が親だったら無理矢理にでも別れさせたくなる程、状況が最悪でした。
そこで唯一この話の中で救世主がいたことに救われました。
サラヨさんの妹ののんちゃんです。
この方がまぁ、とにかくしっかりしていて、
ヒデマロさんだけでなく、ヒデマロさんの両親にもはっきり物事を伝え指示をだすのです。
サラヨさんが鬱病で入院という状況でしたから、妹さんの言動は読んでいてスカッとします。
私も同じように病んでいた時(希死念慮は酷いし、体が動かなくて本当にどうしようもない時)があったので、こんなしっかりした妹が助けてくれるなんて羨ましいと思いました。
毎週末心配して様子を見に来てくれる優しい妹のお陰で、精神科へ無事入院をすることができます。
やっと「ご飯まだ?」の呪縛からも解放され、子供達のことが気になりながらも久々にゆっくり眠れることができるようになりました。
入院前に子供達の顔を見たら号泣して、やっぱり入院できないと言いかけそうになるサラヨさんの親心を思うと、こちらまで泣いてしまいそうでした。
そんな時も姉の気持ちを汲み取って、「お姉ちゃんは安心して入院して大丈夫だよ!」
と声を掛ける優しい妹。
優しいって、優れているってことなんだな。とふと思いました。
入院中も一回も顔を出すところか、主治医に呼ばれても断固拒否する夫。
読んでいて最高にイライラします。
折角よくなって退院したものの、かわらない夫との生活でまたすぐぶり返し。
もう読んでいて心の中で(もう頑張らないで!逃げてサラヨ!)と叫んでいました。
ある日もう駄目だ、、、と思うのですが、、、、、。
そんな時子供のお陰で第一歩を踏み出します。
※ラストは是非ご自身で読んで頂きたいと思います。
もうなんていうか、世の中にはどうあがいても解決できないことってあるんだなと、ご慈悲なんてあったもんじゃないなとすら思ってしまいます。
サラヨさんは長い年月をかけて立ち上がっていくのですが、
よくそこまで頑張って、、と称賛の気持ちでいっぱいです。
本当に、どん底まで落ちたからこその底力というか、
よ~し、私も頑張るぞという生きる勇気を与えてもらえました。
ご本人もここまで赤裸々に綴るのは相当辛かっただろうな、、と思います。
よくこうして執筆して世に広めてくれたと、心からそう思います。
※読み進めていく内に段々心が荒んでいくのです。夫のヒデマロさんに対しての絶望感に関しては、かなり重たくのしかかります。
妹ののんちゃんと理解ある義父と子供達がいなかったらと思うとゾッとします。
最後に著者が「おわりに」で締めた言葉が胸に深く刺さりました。
決して綺麗事で飾っているようには微塵も思えない位潔い言葉でした。
回復までの人との関わりがいかに大切か、
人間としての温い感情を感じるとはどういう事か。
結果はどうあれ、縁があって出会った二人がこの本のような関係になれることは、
とても素晴らしいことだと感動しました。
長くなりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました!
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