アスペルガータイプの夫と生きていく方法がわかる本
宮尾 益知 監修; 滝口 のぞみ 監修
ご存じ多くのアスペルガー・カサンドラ関連書籍に携わっていらっしゃる、
どんぐりクリニック院長・小児精神神経科医の宮尾 益知先生と、
青山こころの相談室代表であり、公認心理士の滝口 のぞみ先生による監修書籍です。
野波ツナさん作”旦那(アキラ)さんはアスペルガー奥(ツナ)さんはカサンドラ”の監修もされています。
※一部ネタバレを含む内容もありますので、これから読まれる方はお気をつけください。
カサンドラに陥るまさにそのままの状況が図解で描かれており、
激しく納得できるものでした。
身近な家族に相談するも、
「男なんてみんなそんなものよ。」
「好きで結婚したんでしょ?」
「いい旦那さんじゃないの。」
「あなたに原因があるんじゃない?」
と言った、耳を塞ぎたくなるような言葉のオンパレード。
次第に動悸がしたり夜は眠れなくなったり、胃痛がしたり、、、。
鬼気迫るカサンドラへの追い込まれ方がリアルに描かれています。
ひょっとしたら今の自分はカサンドラなのかも?という方は一度読まれてはいかがでしょうか。
それと同時にご家族など、今後協力者として助けて欲しい方にも読んでもらうのに、とてもおすすめだと感じました。
どうしても自分一人であの異常さを訴えて理解してもらうには、
難しいのだと改めて思います。
NHKの情報番組でも取り上げられたように、もっともっとカサンドラという言葉とその悲惨な状況を世の中に周知してもらう必要があると切実に思います。
その一手として、こちらの本は大変分かりやすく、要所要所だけでも
「このページだけでよいから読んでみて!」
と人にすすめやすいと思います。
さすが今まで沢山の臨床に携わってこられているので、
豊富な事例の一つ一つが的確に描かれているなと思いました。
この本ではアスペルガーの夫を【数字さん】
定型発達の妻を【お花さん】と比喩しています。
確かにアスペルガーは視覚優位ですし、損得勘定で動くところもありますので、
数字のように目に見えるものの方が伝わりやすいし実感しやすいという事も、
大きく頷けました。
対するお花さんは情緒を何よりも大切にし、だからこそ数字さんと心が通い合えないことに深く傷ついていきます。
”カサンドラ症候群の悩み悩みから抜け出す9つのヒント”や、
少し元気がでてきたら取り組みたいことなど、専門家の観点からアドバイスをしてくれています。
当事者目線からではなく、あくまで専門家だからこその冷静な意見なのでしょう。
最終的には、「夫の為」ではなく、「自分の為」「チーム夫婦」という二人の為という意識が大切と述べられています。
確かにカサンドラは、尽くしても尽くしても、最善策を探しても探しても、
暖簾に腕押し状態で疲弊していますから、自分自身の為にやっていることなんだと認識するだけで、心が多少なりとも楽になりのではないでしょうか。
私もこの本を読んで、相手の為にという気持ちはひとまず横に置いておいて、
まずは傷ついた自分の気持ちに向き合うことから始めました。
このブログも一つの行動なのは間違いありません。
まずは今の自分がどのように傷ついているかを知るということが、治療のスタートラインなんだと痛感しています。
いくつかの解決法の中で、カサンドラの悩みが忠実に再現されている場面があります。
一見よくある嫁姑問題に見えますが、夫が義実家よりで味方をしてくれないというもの。
読めばよりわかってもらえると思うのですが、あのもどかしさ、腹立たしさも、、。
”夫”と”息子”の境界線がわからない。
2つの立場を使い分けることが難しく、夫自身が実は混乱をしている。
との解説に目から鱗でした。
はたから見たら、なんてずる賢くて要領のいい奴と映ってしまいますが、、。
(後からじわじわくる嫌がらせとも思ってしまう程のストレス、、、。)
立場を使い分けられない=マルチタスクが苦手 と繋がり、これは新しい発見でした。
とは言え、やはり読んでいて胸が苦しくなりますね。
あのじわじわくるおぞましい感情。
わかってもらえないリアルな感情が沸き起こります。
第三者に知ってもらうには、かなり有用な書籍なのではないでしょうか。
貴方がもし、信頼している親友や家族に夫の事を話す時、
この本を片手に例を挙げて説明をすることで、少しでも理解へと繋がるのではないかと思います。
本自体も95ページと短く、図解で簡潔に書かれている為、人にもすすめやすいです。
自分の中ではかなりおすすめな一冊となりました。
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